盛岡の食材がもつカラフルさをぎゅっと詰めた自分だけの丼。
プロの料理で食材の美味しさを知り、自分でも盛岡食材を使ってご飯をつくってみようと思えた楽しい時間でした。
空も高くなりはじめ、秋の始まる予感もしてきた2019年9月7日。
盛岡ガス内クッキングスタジオフランメで開催された、「私のカラフル美食丼」というイベントに伺いました。
今日は盛岡食材で作った美味しいあれこれを盛りつけし、自分だけの「美食丼」を作ります。
開始時刻の11時少し前、受付に向かいました。お料理の準備をしているのでしょう、会場にはもういい香りが漂っています。
参加されるみなさんといっしょに、エプロンと三角巾で準備を整えます。
今日の食材が会場の中にディスプレイされていました。さつまいも、かぼちゃ、ミニトマト…そのままでもツヤツヤ、カラフル! この食材をプロの方々はどんなふうに調理するんでしょう。
参加している方は、10代の学生さんからシニアの方まで幅広い年齢層です。盛岡市、食と農の連携推進室山本室長のおはなしでイベントはスタート。
次に、今日の講師「フードアトリエ」の原田さんから盛岡産食材の紹介がありました。
「ミニトマトとパープルスイートはキートスファームさんのものです。黒平豆は玉山から全国に発信しているもので別名、雁喰(がんくい)豆と言います。黒平豆の特徴は煮ると出てくる強いシワ。他の土地で作った豆だと、こんなふうにシワは出ないんですよ。」と話すと会場には「へー!」と声が。
お米は、藤村農園さんからのもので、フードアトリエでも使っているのだそう。田植えのときは、苗株の間隔を広く取って植えられ、普通の田んぼの三分の一の肥料で育つ特別なお米です。
「私たちが住む盛岡には産直が多く、朝取れの野菜が手に入りやすい環境です。わたしたちもお弁当やケータリングに活用している。恵まれた食生活ができる街だと改めて思った。」と原田さん。
続いて、同じく講師の「フードアトリエ」佐々木さんは、
「今日は、丼に参加者のみなさん同じ食材を盛っていきます。盛りつけには正解も間違いもありません。お好きなように盛って大丈夫ですよ。楽しみましょう!」と明るくお話くださいました。
今日の流れの説明の最中、「みなさんが盛り付けをする器はお好きなものが選べます。丼もよく吟味してくださいね。」と佐々木さんがお話すると、会場がなごやかな雰囲気になりました。その後の丼選びも会話が弾んでいましたね。
聞きながらメモを取っている方が多かったのが器選びのポイントについてのお話でした。
・丸い形の丼の時は、多めにしっかり盛り付けをしたほうが映える。逆に三角形などシャープなデザインの時は少なめに盛ったほうがいい。
・白の器は初心者でも盛りやすく、食材を選ばない。
・青の器は食材にない色なので映える。料理にオレンジなど反対色があるとなおよい。
・赤の器は食欲増進、元気、意欲がわく色。反対色の緑を料理に加えるとよい。
・茶色の器は「安心」の色。あたたかみを感じほっとする。緑や赤を添えるといい。
・柄がはいっている器は、中に同じ色を一つ入れることで統一感がでて華やかになる。
器選びからもうお料理は始まっているんですね。並んだ器を前にして今日の食材が持っている綺麗な色を活かすのはどんな器だろうなと、考えるのも楽しい時間でした。
スタッフの皆さんがお料理を用意するあいだに、私たちも準備を整えます。手を洗いつつも、選んだ器と、これから盛り付ける料理のことで頭の中はいっぱいです。
テーブルに戻ると、鮮やかな橙色のキャロットラペや、かぼちゃとパープルスイートのまんまるお団子をはじめ、今日盛りつけるお料理がどしどし運ばれてきます。
こちらは塩麹につけたもりおかあじわい林檎ポーク。会場の中で焼くので、香ばしい香りとフライパンから聞こえる音もごちそうでした。塩麹のパワーでお箸でスッと切れてしまう柔らかさ。
お料理が出てくると、再び、佐々木さんから盛りつけ方のアドバイスが。「同じ方向を向いているかどうかは、とても大事です。例えば、方向を揃えて並べたものと、ただ乗せたもの。高さもバラバラだと統一感がでないですよね。今日はいろいろな形の食材がありますが、同じ方向、って決めるときれいに盛り付けられるかもしれません。盛岡の人はすぐ遠慮しますけど(笑)今日は遠慮しないでどんどんチャレンジしてくださいね。」
「こちらの二種類のガラスの器、三角形の器もスタイリッシュですてきですよね。こちらは見栄え重視のとき活躍します。でも、高く盛ると蒸気や油が料理の中にこもってしまって、中が美味しくなくなってしまうことがあるんです。美味しさ重視のときは平たい器がおすすめですよ。」と、佐々木さん。
お品書きはこちら。
・あじわい林檎ポークの塩麹ソテー
・キャロットオレンジラペ
・あじわい林檎ポークのしぐれ煮
・紫キャベツのコールスロー
・黒平豆の甘煮
・かぼちゃと茄子の煮びだし
・ミニトマトのはちみつ漬け
・味付け卵
・パープルスイートのマッシュ(キートスファーム)
・フルーツぶどう
・りんご
・ごはん(ふじむら農園)
並んだお料理をみていると、全部丼にのせたい!と思えてきます。悩んでいるうちに目の前にほっかほかの湯気をなびかせて、ご飯が登場しました。
「ご飯の量、これくらい?多いかな?」という声があちこちから聞こえました。これからのせるお料理のことも考えると、「ちょうどいい」を探すのが難しい…。お腹もすいてきて、ちょっと欲張りになってしまします。
器もそれぞれ異なるのがまたいいですよね。同じ食材を入れても個性がハッキリでています。みなさん、どんなのを作ったのでしょう。それではぐるりと他のテーブルを覗きに行ってみましょうか。
器から少しはみ出た豚肉から、満足感も溢れております。黄色。緑、赤。元気が出る色合い。白いシンプルな器によく映えますね。
自身作の丼を写真におさめる人の姿もあちこちで見受けられます。ゆで卵も殻がついた状態でテーブルに並び、切るところから自由だったので作る人のイメージで切り方も全く違っておもしろいです!
作り終えた方から順に、自分の丼にぴったりの名前を考えていきます。「とびっきり丼」チラリと覗いたコールスローの紫キャベツが食欲をそそりますね。
これはかわいい!「ひよこのおうち」。器の左上にはゆで卵で作ったひよこが!かぼちゃのお団子も半分にカットしてまんまるが並んでいます。
料理をそのまま盛り付けず、おんなじ大きさに切りそろえて盛り付けたこちらの丼も注目を集めていました。食べやすそうで、やさしい一皿です。
食べ始める前に、一つずつ撮影もしました。自信作、みなさん嬉しそうです!
講師の先生と日頃の食についての悩みについて真剣にお話しているテーブルも。盛岡食材を使った他のおすすめ料理についてや、入手方法のお話も話題にあがっていました。
「美食王国もりおか」の食農パートナーズでもある、向中野のパン屋さん、panopano(パノパノ)もりおか短角牛カレーパンの試食や、食後に嬉しいトマトのジェラートもいただきました。お土産には、もち小麦「もち姫」を使用した食パンも。
トマトのジェラートは、一度焼いて皮を取りのぞいたトマトを使用しているそうです。自然なトマトの酸味と甘さ、お日様のような味で、口の中もサッパリ。
盛岡産食材の一つ、盛岡市砂子沢地区の「アロニア」を使ったアロニアサイダーも初めていただくことができましたよ。
生のアロニアをジュースに加工したこちらのサイダー。酸っぱそうに見えますが、酸味はそれほど強くなく、色がきれいな赤紫色。後味がくせになります!
そしてさらに「今日の丼ぶりはお持ち帰りいただけます。」とお話があり、こちらもおみやげとしていただきました。今日いただいたお料理のレシピカードです。「これで家でも美食丼が作れるね」と会場から嬉しい声が上がりました。
最後はすっかり打ち解けた参加者とスタッフとで、テーマを設けてトークの時間。盛岡のオススメのお店にうんうん、と頷き、今日の感想をみんなで共有しました。
アロニアや黒平豆、盛岡りんご。今回私が初めて知った盛岡産食材です。
料理が苦手なので、お店に並んでいるのを見つけたとしても「私には無理。」と手に取れなかったかもしれません。
今回は食材ごとの調理法や盛り付けのポイントも一緒に教わったことで「次、盛岡産食材を自分でも料理してみたいな」と思うことができました。
赤、緑、黄色、紫、白、黒。今回作ったカラフルな丼、その彩の豊かさは、そのまま盛岡食材の豊かさなのだと思います。
毎日手の込んだ料理は大変ですが、一日三食、食卓に一色ずつプラスする「一日三色」で、わたしも盛岡産食材をもっと楽しんでみたいと思います。
《参加のみなさんより》
・色のイメージや盛り付けのポイントを聞く事ができてよかったです。また、それにあわせて食材の味付けをしてくださっていたので美味しくいただけました。作ってあるものを並べるので楽でした。
・素敵な丼になりうれしかったです。彩り良く素材よく「色」を大切にしている先生に教えていただいた盛り付けのコツも活かして写真に撮っても見映えする美食丼になりました。もちろん味もおいしかったです♡普段の食事にも今日のことを思い出して作りたいと思います。
・色々な食材を使って丼ぶりを盛ってみて、カラフルにした方が地味なのよりおいしく感じられるなと改めて思いました。自分でアレンジできて楽しかったです。
・とてもキレイな彩り美食丼をつくれたし、おいしかった。
【開催概要】
美食王国もりおかファンクラブイベント
「のっけてみよう・食べてみよう 私のカラフル美食丼」
《日程》 9月7日(土) 11:00~14:00
《会場》 盛岡ガス「クッキングスタジオ フランメ」(盛岡市上田二丁目19番56号)
《講師》 フードアトリエ 佐々木朋乃さん・原田睦子さん
写真・文/菅原 茉莉