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2023年10月30日

【ツアーレポート】盛岡の収穫の秋。街と山を行き来し味わうプレミアムツアー


「いつもは明るい時間が多い美食王国もりおかのツアーですが、今日はどうぞディナーまでお付き合いくださいね!」案内の明るい声にバスの中では拍手が。
今回のツアーでお世話になる12人乗りのコンパクトなコミューターバスは、区界牧野で牛のできるだけ近くまで行くのにぴったりなのだそう。一日ご一緒する参加者のみなさんの自己紹介を聴きながら、アットホームな雰囲気でマリオス前からツアーがスタートしました。


盛岡市街地から106号線を通って道の駅区界高原に到着しました!気温も街中より4度ほど低く、バスを降りたときの風が心地よく感じられます。少しお腹がすいたので休憩時間に軽食を。焼きおにぎりと、ゆず果汁入りの「紫蘇っす」というジュースを売店で買いました。隣接する宮古市川井地区は朝夕の気温差があり、肉厚で品質の高い紫蘇が取れるのだそうです。紫蘇っすも紫蘇の甘酸っぱい香りとさっぱりとした味で、元気がでました!


区界牧野に向けて、私たちも準備を整えていきます。靴にはビニールの靴カバーを。「東京ドーム55個分の敷地がある牧野、21の牧区の中を移動しながら牛たちは暮らしています。近くでみられることもありますが、人の気配に驚いて遠くに逃げてしまうこともあるんです。」どうでしょうね、会えるといいですね、と参加者のみなさんとお話しながら、バスはくねくねとした道を牧野へ進みます。


牧野に入るとすぐに数頭の牛を発見!バスの中に「あ!!いました!」と嬉しい声が響きます。早速バスを降りて、こんなに近くまで…。どきどき。腰が引けてしまいます(笑)つやつやした毛並みがおひさまの光できらきらと光っています。


ここにいるのは、5月から10月中旬までを区界牧野、冬の間は牛舎で過ごす「夏山冬里方式」で育てられている牛たちです。毎年春になると40〜45頭が山にあがってきます。1頭がオス、他は全部メス。基本的には生えている牧草を食べ、近くを流れている沢の水を飲んでいますが、今年は鹿の食害や、雨不足の影響で牧草の生育が悪く牧草ロールも食べさせているのだそうです。


「草と水だけだと、ミネラルが不足してしまうので鉱塩(固形塩)をあげています。広い牧野で自由に過ごしていますが、ちゃんと栄養が足りているか、夏バテしたり病気になっていないか健康チェックも定期的に行っています。」と話してくれたのは、区界牧野を担当している盛岡市農政課の金子さん。


青い空、区界の山々を背景にして牛たちと一緒に記念写真も撮りました。どことなくカメラ目線をしてくれている牛も!


区界牧野を出て向かうのは盛岡市北山にあるベアレン醸造所。「ビール、日本酒、ワイン、どぶろく。岩手はお酒好きな方にはたまらない土地ですよね。そして、盛岡のビールといえばこれから行くベアレン醸造所です。材木町、菜園、盛岡駅前に2店舗の直営店があり、早い時期から社員の働き方改革も進めてきた岩手県のリーディングカンパニーです。」というお話を聴きながら北山に到着です。駐車場に描かれた大きなビールのイラストが私たちを出迎えてくれました。


「会社名のベアレンはドイツ語で『クマたち』という意味。2001年に創業し、2003年からビール造りをはじめ、2023年で20周年を迎えました。」案内をしてくれたのは山崎さん。


「オーストラリアやカナダなど、海外から麦芽は輸入しています。発芽と焙煎がおわっている状態で仕入れ、粉砕するところからの工程を工場で行っています。工場内にはドイツから取り寄せた100年以上前の設備もあり、ヨーロッパの伝統的な製法でビールを造っています。」


工場に入るとパン屋さんの中のようなあたたかい香り。釜を覗き込む参加者のみなさんからは「大きいですね…時代を感じます」とつぶやきが聞こえました。「この機械を掃除する時は、人が中に入って手洗いしているんですよ。」と山崎さん。昔ながらの機械、製法を大切に繫ぎつつ、新しいチャレンジもどんどんしているベアレンさんの魅力をたっぷり感じられた工場見学でした。


工場見学の最後はビールの試飲です。試飲とは思えないグラスの大きさに嬉しい悲鳴!


みんなで外のテラス席で乾杯!牧野を歩いたあとのビール、体に染み込みます。「この一杯をツアーの中で一番楽しみにしていたんです!」というベアレン大好きな参加者の方も。庭の一角には、社長が育てているというホップも実をつけていましたよ。チェイサーには賢治清水の湧水が配られ、「盛岡はこういう美味しい水があるから、美味しいお酒ができるんだよね。」という声も。


私は普段、車を使った移動が多いので、まだ明るい時間からビールを飲んでバスで目的地に向かうというのはとても贅沢!お姫様のような気分で心地よく中心市街地に到着しました。次は紺屋町周辺のまちあるきへ。


夕方が近づく中津川には美しい西陽が差していました。建造物や歴史の話を聞きながらゆっくりと1時間ほど散策を楽しみました。


まちあるきの最後はクロステラス盛岡の中にある産直「賢治の大地館」へ。区界から帰るバスで話題になった桜顔酒造さんのお酒や季節の野菜が並んでいて、お土産を買う方の姿も。たくさん歩いてお腹もすいてきましたね。まもなくみなさんお待ちかねのプレミアムディナーです!


会場のヌッフ・デュ・パプに向かう途中、タイミングよく見えた中秋の名月。参加者のみなさんと一緒に眺めました。いい夜です。


こちらが今夜のお料理を担当してくれる松橋ひらくシェフです。よろしくお願いします!


最初のお料理は「南仏プロヴァンス風 焼きたてフーガス」
プロヴァンス地方の伝統的なパンで、ドライトマトとスパイスが入っています。小さく割り口に運ぶといい香りとカリッとした歯ごたえ。今回のディナーは2杯ドリンクもオーダーできるので、一杯目はスパークリングワインをオーダーしました。フーガスともぴったり。これからのお料理がますます楽しみになります。


フーガスと一緒に配られたのはお野菜のイラストが描いてあるかわいい7枚のカード。なんと、ディナーコースの途中に2つのクイズが用意されていました!こんなに美味しいお料理を食べながらちゃんと考えられるのでしょうか(笑)
最初のクイズは「7つの野菜を日本に伝わった順番に並べましょう!」というお題です。とうもろこし、さつまいもは主食にもなりそうだし早く伝わっていたのでは?と予想したのですが…。

正解はこちら!(全部当たった方のを写真に撮らせていただきました)わたしは見事に外れました。全問正解、すごいですね、拍手!


クイズに頭を悩ませながらも美味しいお料理が続きます。2皿目は「4種前菜の盛り合わせ」です。
・野菜のテリーヌ
・レバーブルスト
・スモークサーモン
・サルシッチャとズッキーニのフォカッチャ・ディ・レコ

テリーヌは県内産のナス、ネギ、ブロッコリーなどの野菜をプレスしたもの。ふわふわとした泡には少しの塩気があり、異なる食感を楽しんで欲しいというひらくシェフの遊び心が見えるようです。
レバーブルストは、予想以上に奥深い味。薄くカットされた1枚ですが、分厚いお肉を食べたような満足感。少しずつ、じっくりといただきました。
スモークサーモンはシェフの自家製。フォカッチャ・ディ・レコはやわらかい生地を手の甲で伸ばして具を挟んで焼いて作るそう。薄くパリッとした生地としっとりとした中の野菜のコントラストが楽しいお料理でした。


パスタは「ナメタガレイとアサリのパスタ アーリオ・オーリオ」
昨年移転オープンしたヌッフ・デュ・パプ。店内でお料理をいただくのは初めてだったのですが盛り付けている様子が近くで見られるのが嬉しいですね。調理中の香りも漂ってきて、ライブ感がたまりません。


大ぶりなアサリ、大きすぎて違う種類の貝かな?と思ってしまいました(笑)秋から4月ごろにかけて旬を迎えるというナメタガレイ、やさしい甘味と旨みを堪能できる一皿。


メインは「もりおか短角牛のステーキ」です。香茸のソースがかかっていて、短角牛らしい噛むほどに味わいが増す赤身のお肉。

ひらくシェフにステーキを自宅で焼く時のコツを聞くと、「よく、『30分前から常温に出しておく』と言われていますが、スーパーで買うステーキ用のお肉なら直前に冷蔵庫から出して大丈夫です。余熱でやさしく加熱、1,2分休ませる、という工程を何度か繰り返して見てください。もりおか短角牛の場合は脂が少ない分火が入りにくいので火入れの工程はさらにじっくりと。難しいな、と思った方はいつでもお店に食べにきてくださいね(笑)」と笑顔でお答えいただきました。私はお店にいくことのほうが多くなりそうですが…。おうちでチャレンジする方はぜひ試してみてください!


さて、クイズも2つ目が出題されましたよ。「メインで出てきたステーキの部位はどこでしょう?」というお題です。各テーブルに1枚ずつ、牛のイラストと丸シールが配られました。ステーキは脂っこさを感じなかった、けれどこれは短角牛自体の肉質なのか、それとも部位によるものなのか…?お肉を味わいながらシンキングタイム。


クイズの正解はヌッフ・デュ・パプの伊東ボスから発表。正解は腰からおしりにかけての部位である「ランプ」でした。サーロインの隣にあり、厚切りで食べると赤身の旨みをしっかり感じられる人気の部位なんですって。


デザートは「盛岡りんごとアーモンドのフィレンツェ風ケーキ」
山地酪農牛乳のヴァニラジェラートが添えられています。トスカーナ地方の風習に習って、シナモンではなくローズマリーが入っているのだそう。「りんごは2センチの角切りとスライスの両方を使い、1つのケーキで食感の違いを楽しめるようにしました。」とひらくシェフ。


最後は美食王国もりおかの恒例、クラッカーでお開きです。街から山へ、そしてまた街へと行き来しながらの1日。バスの中でのおしゃべりや、流れる街、里山の景色、夕方のまちあるき。牧野でのもりおか短角牛とのふれあいや、ベアレンの工場見学。もりだくさんの工程の中で今まで知らなかった盛岡をまた一つ知り、味わうことができたプレミアムツアーでした。ありがとうございました!

写真・文 LITERS 菅原茉莉


~参加した皆さんの声~
「間近で短角牛を見ることがなかったので貴重な経験となった。」
「ストレスフリーな場所で育まれた牛たちに会えてよかったです。」
「ビールおいしかった。100年前のやり方でつくっていることがすばらしい。」
「試飲の量ではなかったので、びっくり。美味しかったです。」
「美味しくいただきました!ゲームも盛り上がり、勉強になりました。」
「紺屋町が意外に面白く、今度開拓に行こうと思います。」
「この内容をもっと県内外の方に伝えていってもらいたいと思います。」

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