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2022年9月25日

【ツアーレポート】地域について、食について。学び味わう。~産地をめぐるサマースタディツアー~

朝8時。マリオスに集合。順番にバスに乗り込みます。

添乗の北田さんが、「おはようございます!いつもは土日開催のことが多いツアーですが、今回は平日です、普段参加できなかった方も多いかな。」とご挨拶。

25名の方が参加したサマースタディツアー。元気に出発です!

外は霧。

バスの中では八幡平市にあるサラダファームのパティシエ、瀬川さんのご挨拶。

「黒平豆、ピュアホワイト、はじめての生産現場もあり楽しみです。」そして、午後に食べられるという特製スイーツについても少し教えて下さいました。もうおやつの時間が待ち遠しい!

 

今回は専門学校生のみなさんも5名ジャンボタクシーでツアーに参加。
「フレッシュなみなさんとご一緒に、楽しく過ごしましょうね」と北田さん。

 

市内中心部から薮川までは約1時間ほどのドライブです。

こちらは岩洞湖。
一瞬でしたが美しい水面が見え、思わずシャッターを切りました!

 

冬のワカサギ釣りについての話で盛り上がるバスに揺られながら進んでいきます。

 

窓の外を見ると、こちらは一面のそば畑。ちょうどそばの花の開花時期でもあり、白い花が絨毯のよう。

まほら岩手に到着し、「本州一寒い、薮川へようこそ!」とご挨拶してくれたのはまほら岩手所長の久保田さん。

 

厳しい寒さでなにも育たないと言われてきた薮川で栽培を始めたのは、同じく寒い北海道で栽培されている「ピュアホワイト」。糖度の高さが特長のとうもろこしです。甘さの秘密は夏の昼と朝晩の寒暖差で薮川にぴったりなんだそう。ツアーから約一週間後が最盛期とのことでナイスタイミングでした。

敷地の中には釣り堀やボート乗り場、ターザンロープなど外遊びを楽しめる設備がたくさん。見上げるくらい大きなキノコのオブジェもありましたよ!

管理棟から100メートルほどの場所にある畑へ。広がるのは盛岡市内の子どもたちが植えたピュアホワイトです。

「外側からみて、穴が空いているのには虫が入っていることもあります。上の部分を押してみて、フカフカした感触のものより、ギュッと実が詰まっていそうなものを選ぶといいですよ」と久保田さん。

背の高いピュアホワイトをかき分け、この中から、「これだ!」という一本を探して収穫します。

皮を剥いてみると、本当に真珠の粒のようです。真っ白。「ひげの本数と、粒の数は比例するから、ひげが立派なのを選ぶといいですよ。」と教えてくれたのはパティシエの瀬川さん。

「生で食べてみてもいいですよ!」と久保田さんから言われ、そのままパクリ!
和梨のような、やさしい甘さとみずみずしさ。自分で収穫したばかりのピュアホワイトを畑でいただくのは、格別の美味しさでした。

山々と、畑を背景に記念撮影もしましたよ。がぶりっ!のポーズの方もいますね(笑)

まほら岩手さんからは、こちらのお土産もいただきました。

 

・じゃがいも(ノーザンルビー)
・かぼちゃ(てまりかぼちゃ)
・とうもろこし(ピュアホワイト)

「ノーザンルビーはピンク色のじゃがいもでメークイーンに似た煮崩れしにくい品種です。フライドポテトにしたり、茹でてバターを添えるのがおすすめ。てまりかぼちゃは小さめで皮が薄いのが特長です。切ってレンジで蒸すだけでもおいしいですよ」と久保田さん。

 

「ノーザンルビーはポテトサラダにしたら色もきれいかも」「ピンクのフライドポテトなんて、子どもも喜びそうです」と参加したみなさんも喜んでいました。

畑から建物に戻って、久保田さんのお話を聞きながらいただいたのはまほら岩手さんで商品化したピュアホワイトのポタージュ。「さきほど畑で見ていただいたようにピュアホワイトの上の部分だけが虫食いでも、下の部分は美味しく食べられるということが多くて、SDGsの観点からも、食べられる部分を捨てたくないなと。それでポタージュを作りました。」というお話に、参加者のみなさんもうなずきながら味わっていました。

ピュアホワイトのおいしさがぎゅっと。中には粒も入っていて飲みごたえがあります。

「もっとお子さんたちにも、まほら岩手を知ってほしいですね。春夏秋冬、自然を満喫できるイベントをもっと企画していきたいです。スイーツの開発もチャレンジしたいですね。」と話す久保田さん。秋のキノコ、冬の氷の世界にも興味がわきました!

「いってらっしゃーい!」久保田さんの元気な笑顔に見送られ、バスは天峰山へ向かいます。

くねくねとした山道をのぼり、バスを降りるとなかなかの強い風。この日は残念ながら岩手山はみえなかったのですが、「晴れているとドーンと見えますよ!」というお話を聞いて、また見に来る!と決意。

手前中央にある茶色い屋根の建物が、次の目的地、岩洞湖第一発電所だそうです。その奥に見えるのが玉山地区の町並み。

盛岡市中心部からも見える風車、こんなに近くでみられましたよ。全部で11台あるのだそうです。迫力満点!

「秋にはススキと紅葉がきれいでしょうね!」とお話されていた参加者さんもいらっしゃいました。わたしも初めてのぼったので、こんな眺めが盛岡市内にあるなんてびっくりでした。

アクティビティでパラグライダーもできるそう。ちょっと怖そうですが、いつかやってみたいなあ。

天峰山からバスに戻ると、こちらのチケットが配られました。なんと、今日限定で作られたチケットなんですって。

 

さきほど天峰山から見下ろした茶色い屋根。岩洞第一発電所に到着です。しっかりとした門構えにどきどき。

私たちを出迎え、お話してくださったのは案内スタッフの朝岡さん。地下約300メートルまでは「インクライン」という乗り物で斜めに掘られたトンネルの中をゆっくりと降りていくのだそう。

 

「ヘルメット、はじめてかぶりました…!」と、なんとなく誇らしげな参加者のみなさん。

テーマパークのアトラクションのようなサイズ感。中は向かい合うような形で10名ほどが座れる座席があります。インクラインの中でも職員の方が発電の仕組みについてお話してくれました。

約10分。「人の歩く速さと同じくらい」というスピードで、下へ下へ。地下に到着です。

北上川水系丹藤川に建設した岩洞ダムの貯留水(岩洞湖の水)を利用している、岩洞第一発電所。発電に使用した水は、約7キロメートル下流にある岩洞第二発電所に送られるのだそうです。また、取水口では発電・農業用水の水を取水していて、農業用水を供給する時期は暖かい湖の表面水を上部から取り、農業用水を供給しない時期は、氷上シーズンも含めて湖の下部から取水するんですって。

いろいろなスイッチが並ぶ前で説明してくださったのは川村さん。「地下約300メートルの地点に発電設備がある地下式発電所としては、日本有数なんです。岩洞第二発電所と合わせて約50,000キロワットもの出力を誇っているんですよ。」

 

ワカサギ釣りのイメージが強かった、岩洞湖。私たち盛岡市民の電気が、まさかここからから生まれているとは知りませんでした。再びインクラインに乗って地上へ戻るとむわっとした空気。地下はだいぶ涼しかったなあ。

地下から戻ったあとは、発電の仕組みや歴史をビデオ映像で学びます。自転車の発電を体験した参加者さんもいたようです(やってみたかった!)

 

発電所を出る頃には、「ヘルメット、最初は違和感があったけど気に入っちゃった。」なんておちゃめな声も聞こえました(笑)地下からでると外の光がいつもより眩しい…!
記念写真も撮影しましたよ。

 

さて、そろそろお腹が空いてきました。岩洞第一発電所からバスで5分ほどの場所にある「さくらパーク姫神」でお昼ごはんです。今回のお昼ごはんはフードアトリエさんの特製ランチボックスです!カラフルなお弁当に、フタをあけた参加者のみなさんから歓声があがりました!

 

【メニュー】

・盛岡短角牛&地元野菜のグリル
・盛岡じゃじゃ味噌田楽
・コリンキーナムル
・茄子の揚げびたし
・甘酒の厚焼き玉子
・フルーツピクルス
・切り干し大根甘酢漬け
・盛岡りんごのマフィン

 

下太田にあるキートスファームさんなど盛岡食材をメインに使ったメニューの数々。

盛岡短角牛はお弁当なのに柔らかでジューシー。コリンキーなど珍しい食材にも出会えました。

デザートのマフィンを頬張りながら、嬉しいお顔。

ちょうどお昼ごはんを食べている時間は雨が降っていたのですが、さくらパーク姫神は屋根もあるので大丈夫でした。名前の通り、春には満開の桜が見られるのだそう。またお弁当を持って遊びに来たいです。

 

 

お昼ごはんのあとは日戸の集落にある「雅ファーム」へ。4年前に法人化し、現在は118haの畑で盛岡特産6品目でもある黒平豆や枝豆、黒大豆、白大豆、小麦などを栽培している日野杉さんにお話を伺いました。

黒平豆は、わたしも盛岡に住むようになってから知った食材の一つです。
雁喰豆(がんくいまめ)とも呼ばれていて、渡り鳥の雁が渋民で落とした一粒の種がはじまり、という言い伝えがあります。むっちりとした粘りのある食感が特長です。

ぴょんぴょん舎と、田鎖農園で開発した「農酒(のんじゅ)」。こちらにも雅ファームの黒平豆が使われているのだそうです。農酒について詳しくはこちら(リンク)

「雪の除雪技術があがって、ニホンジカも畑に来るようになりました。ほかにも、鳩やイノシシなど農作物を動物から守るため、電気柵など様々な対策が必要になっています。」と日野杉さん。今までの雅ファームの歴史や、育てている作物の話、生産の現場での悩みなどリアルなお話を聞き、農作物が店に美しい状態でずらりと並んでいるのは、決して当たり前ではないのだと痛感しました。参加者のみなさんもメモをとったり、質問したり、真剣な学びの時間でした。

そして、お話の最後に日野杉さんから枝豆のお土産もいただきました。いつもお店で見ている枝豆。お話を聞いた後だと、ずっしりと重く感じました。

 

 

次に向かったのはバスで5分ほどの玉山地区公民館。おやつタイムで立ち寄りました。

部屋に入ると枝豆のいい香り!こんなセットが用意されていましたよ。枝豆はもちろん雅ファームのもの。そして隣にあるのが、瀬川パティシエ特製の「玉山ナンテコッタ」です。

瀬川さんのトークを聴きながら、耳も口も贅沢なおやつタイムです。枝豆は味がしっかりとしていて香りが素晴らしいです。そしてなんといっても茹で加減が絶妙…!玉山ナンテコッタは甘すぎず、層によっていろいろな食感が楽しめます。

「ナンテコッタは、一番下の白い部分は米粉でとろみをつけています。中央には雅ファームさんの黒平豆を入れ、上にはほうじ茶のゼリーを。寒天だと固くなりすぎてしまうのでアガーを使っています。」と瀬川さん。

「玉山ナンテコッタの他にも例えばチョコレートと何か、というのも面白いですよね。個性ある美味しい食材が盛岡は豊富なので、いろいろな組み合わせが楽しめそうですね。」という瀬川さんのお話。

みなさんからも、「ぜひ作って欲しい!」という声が上がるなか、ナンテコッタを堪能しました。

そして、枝豆を美味しく茹でてくれたのがこちらのお二人。「枝豆を茹でたあと、ザルに広げて扇風機で風をあて、豆を冷やしたんです。美味しく食べていただいてよかった。」とお話してくださいました。ごちそうさまでした~!

 

おいしいおやつを頂いたあとは日野杉さんの、黒平豆畑へ。

 

伺った時期はちょうど花が終わり、実が付き始めたころでした。この畑も鹿の害が少ない場所を探して借りた畑で、農薬は極力つかわずに栽培しているそうです。

 

まだ小さな鞘のなかに平たい豆がはいっているのがわかります。ここからぷっくりと大きくなっていくんですね。

 

そして、ここから見える岩手山が最高ですよ、という情報も…!水田に水を張る季節にはこんな景色がみられるんだとか!

 

たくさんお話を聞かせてくださった日野杉さんに別れを告げ、バスは産直「恵一握」へ。

こちらの産直ではおまちかねのお買い物タイム。盛岡中心部の産直ともまた違う商品のラインナップで、みなさんたくさんお買い物していました。さきほど畑でみた雅ファームさんの黒平豆も販売されていましたよ。

バスにもどるとポツポツとまた雨が。お天気はすっきり晴れ!という日ではなかったのですが、雨には当たらずにツアーも無事に終わりを迎えました。

バスに戻ると「たくさんお買い物されましたか?なんだかさきほどよりも、バスが重いような(笑)」という添乗の北田さんのお話にみなさんほくほく笑顔。

岩手は本当に産直の数も多く、コンセプトも規模もいろいろですね。行った先々でその土地の生活を感じられるのも産直の素敵なところです。

 

生産の現場で話を聞き、収穫をし、味わえたツアー。食材を「おいしい!」と味わうのももちろんですが、生産者のみなさんに対して、盛岡の自然に対して、自分にできることはもっとあるのかもしれないと考えさせられる場面が多くありました。

 

パンパンのエコバックと、たくさんのお土産と、家族で話したいテーマまでもらったようなサマースタディーツアーでした。

 

写真・文/菅原 茉莉

 


《参加のみなさんより》

・初めて自分の手で収穫したとうもろこしを、その場で食べました。とにかく美味しかった。感動!!

・(お弁当が)少しずつ多くの種類の料理が入っていて楽しかった。食材の新鮮さとおいしさを味わうことが出来た。

・社会科見学のようで、童心に戻って質問までしてしまいました。盛岡(地域)の水事情を支える発電所、たくさん学べました!!

・生産している方の思い、苦労を聞くことが出来、スーパーへ行った時思い出しながら商品を選びたいと思いました。

・(枝豆や玉山ナンテコッタが)目が飛び出しほっぺが落ちると思う程すばらしく美味しかったです。

 

■盛岡の秋の恵みや関連する歴史文化観光資源を楽しみたい方は、こちらの記事もどうぞ

『産地をめぐる オータムスタディーツアー』
 
・盛岡駅西口 発着
・日程 11月4日(金)〈日帰り〉

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