このページの先頭へ
リンクをコピーしました

2025年2月26日

石割桜酵母の手づくりパン【マドからパン】

「盛岡の美味いもんアンバサダー」から承継したレシピ

 

盛岡市、青山4丁目のバス停近くにある「マドからパン」。名前の通り、ショーウィンドウに並ぶパンを選んで窓から受け取るテイクアウト専門のパン屋です。

オーナーの見世剛信(みせ たかのぶ)さんは元陸上自衛官。東日本大震災の際、被災地で支援物資の輸送を担当し、被災者と接したことで、人と食で関われる仕事に就きたいと考えました。

盛岡商工会議所内にある岩手県事業承継・引継ぎ支援センターを介して、現在の店舗で営業していたパン屋「tuk-tuk(トゥクトゥク)」から事業を承継。盛岡市産の食材でオリジナルのメニューや商品を提供する店の証し「盛岡の美味いもんアンバサダー」にも認定されていた「tuk-tuk」の食パンを「材料に酸化防止剤、保存料などの食品添加物はもちろん、乳製品や卵も使っていないからか、食べても胸やけや胃が張る感覚がなく、好んで買っていました」と話す見世さん。「それに、おいしいパンを地域からなくしたくなかった」。事業承継に込めた願いを語ります。

2カ月間の修行を経て、食パンの製法や店舗、オーブン・発酵器などの業務用機器を受け継ぎ、2024年6月に開業しました。

パンの仕込みは前日の午後2時から。

独自の割合でブレンドした県産小麦の「ゆきちから」「もち姫」「春よ恋」と国産小麦の「テリヤ」に「石割桜酵母」、「天然塩と麦芽飴を溶いた28℃のぬるま湯」を順番に加えて混ぜ合わせます。

石割桜酵母は盛岡市中央通りの裁判所にある国の天然記念物「石割桜」の花びらから採取した天然酵母。釜石市にある「北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所」が東日本大震災による津波被害に遭いながらも、東京都の「有限会社あこ天然酵母」と共同で開発しました。

材料が一塊になったら、コメ油を加えて更にこねます。油が馴染んだら生地は完成です。生地を発酵器に移して、一次発酵を行います。市販のイースト菌を使用すれば30~40℃で1時間もかかりませんが、「石割桜酵母は天然酵母ですから、低温でゆっくり温めないと発酵が進みません」。季節やその日の温湿度によって、発酵器の温度を20~21℃に調整し、12時間ほど寝かせます。

「時間がかかった分だけ発酵の味わいが深く、小麦の豊潤な香りを引き出してくれます。しかも食感はソフトです」。

翌日の午前3時。夜明け前から、作業は再開されます。

発酵器の中で眠っているうちに2倍に膨らんだ生地のガスを抜き、切り分けて、成形。1時間30分ほど二次発酵をさせ、生地がまた2倍に膨らんだらオーブンで焼きます。

商品ができ上ると販売先へ配送。そうして、開店時間の午前11時を迎えます。

「小麦と酵母、塩、麦芽飴だけのシンプルな材料でつくる、どんなおかずにも合う『主食になるパン』が『マドからパン』の特徴です。今後は所有しているキッチンカーでイベントに参加する予定。もっと多くの方に石割桜酵母を使ったパンを知ってもらいたい」。

盛岡市の春を象徴する石割桜。たくさんの人に楽しまれる花のように、たくさんの人にパンを届けるベーカリーになることが目標です。

 

【店舗情報】

マドからパン

青山4丁目45-8
営業時間:11:00-14:00
定休日:木曜日・日曜日(その他の曜日も時々休むため、ご来店前にはインスタグラムをご確認ください)
駐車場:6台あり。「あおやま履物店青山町支店」の前を通って、裏手にある共同駐車場をご利用ください
購入先:店舗、またはビックルーフ滝沢たきざわキッチン、南部マルシェ ぞっこん広場

Instagram

 

この記事を取材したライター

write a light

write a light

write a lightが書いた記事はこちら

盛岡市に拠点を置く企画・制作会社。各地の「光」を掘り起こし「書き」残したいという想いから、2012年に設立。現地へ足を運び、対話し、肌で感じた魅力を言葉とデザインに落とし込むことをモットーに、岩手県内外の制作を手掛ける。印刷物、WEB、動画、ノベルティ、その他商品開発やイベント企画など、制作場面での幅広い実績を持つ。

岩手・盛岡の食と農業に関わる取材も数多くおこなってきました。盛岡の食の新しい魅力を発見し、みなさまに伝えます。

盛岡市に拠点を置く企画・制作会社。各地の「光」を掘り起こし「書き」残したいという想いから、2012年に設立。現地へ足を運び、対話し、肌で感じた魅力を言葉とデザインに落とし込むことをモットーに、岩手県内外の制作を手掛ける。印刷物、WEB、動画、ノベルティ、その他商品開発やイベント企画など、制作場面での幅広い実績を持つ。

岩手・盛岡の食と農業に関わる取材も数多くおこなってきました。盛岡の食の新しい魅力を発見し、みなさまに伝えます。

write a lightが書いた記事はこちら

この記事に関連した記事はこちらから

MENU