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アロニアと砂子沢。「知る人ぞ知る」に出会う小さな旅。

2019年9月25日

 
盛岡中心部から、南東に20キロ。
砂子沢地区で出会ったのは、豊かな自然と穏やかな時間。そして「アロニア」でした。
 
盛岡中心部から南東に約20キロ。アロニアの収穫を体験しに、砂子沢(いさござわ)へ向かいます。9月にしては強い日差しが車内に届きます。
トンネルにはいると日陰になり、車の中はひんやりとした心地よさ。そして、このトンネルを抜けると…。
目の前の景色が、一気にひらけます。山の碧、空の青が広がり、交通量も多くありません。ぐーっと伸びをして、砂子沢の清々しい空気をひとりじめです。
車を降りて、近くを少し散歩してみることにしましょう。秋風の空の下には、レンズに収まりきらないほど広大な、黄金色の田んぼが揺れています。
 
蕎麦の白い花もあちこちで見かけます。砂子沢は蕎麦作りも盛んなんですね。
 
せせらぎの音に誘われ、橋の上から川面を覗くと、すぐ近くまで降りられる小道をみつけました。ゆっくりと水に手をつけてみると、冷たさと透明感にびっくり!
行く先々で趣ある神社と出会えました。迷いましたが、こちらの神社にお参りすることにして、田と田の間を進み、
山のすぐ近くまで歩き、土地の神様にご挨拶を。
神社の他にもノスタルジックでのんびりとした雰囲気の建物が多い砂子沢。
決して派手ではありませんが、空気が軽くて、目の前の景色は大きくひらけているし、その色彩がやさしくて。
風や、木々や、川の音に包まれていると、握りこぶしを開くような、ほっとした気持ちになります。
交差点に、紫波と大迫と書かれた看板を発見しました。9月初旬、満開のコスモスが風に揺れていました。
 
 
 
 
ヤマメやイワナなどの川魚が釣れるという根田茂(ねだも)川。この日も釣竿を持った方がいらっしゃいましたよ。
 
田んぼ、蕎麦の畑、神社、川…と、砂子沢さんぽも堪能したところで今日の本題、アロニア収穫のお手伝いへ向かいます!
収穫体験に参加されるみなさんとアロニア農家さん宅で合流しました。
今日は盛岡市近郊からアロニアに関心を持って集まった3名の参加者の方と作業をご一緒します。
「午前中は収穫作業、お昼の休憩を挟んで、午後は収穫したアロニアを選別する作業です」とスタッフから説明が。
 
「暑くなりそうなので水分補給はしっかりしましょうね」と、アロニア生産組合、組合長の下村さん。
そもそも、盛岡市砂子沢地区でアロニアの栽培を始めたきっかけはなんだったのでしょう。 下村さんに伺うと、「アロニアの栽培を始めたのは平成16年のこと。このときアロニアの栽培に力をいれていたのが北海道で、砂子沢は、「高地で冷涼な栽培環境」という点で北海道と共通する部分が多かったんです。それに加えて、大人の背の高さほどの低木で、女性や高齢者でも農作業がしやすい作物だったことが栽培を始める決めてになったのです。と教えてくださいました。
 
 
それでは畑へ出発!
アロニア畑は農家さんのお家のすぐそば、歩いて5分ほどの場所にあります。
 
アロニアは、北米やロシアで多く生産されており寒さにも強い作物で、直径1センチほどの小さな実をつけます。リンゴなどと同じバラ科。
目に関する機能改善に効果があると言われているポリフェノールの一種、「アントシアニン」の含有量がブルーベリーの2〜3倍あることなどから、近年注目されているフルーツで、見た目はブルーベリーにそっくりです。後味に独特の渋みがあり、この渋さのおかげで、虫がつきにくいのだそう。
「まだ赤い実と黒くなって熟した実があります。黒くなった方を、こんな風にカゴに収穫してください。片手でフサを持って、直接カゴに入れるとやりやすいですよ」と、下村さんが参加者に説明してくれました。
アロニアの粒はブルーベリーやさくらんぼに比べると、少し固めで収穫自体は難しくありません。
ですが、赤、黒、の色がお日様の下だとなかなか見分けにくい…。注意しながらカゴにいれていきます。
よくみてみると、なんとも可愛らしい、りんごのようなおしりです。
「アロニア、生で食べたことある?一つ食べてごらん。」いたずらっぽく微笑む農家さんにそう促され、一粒をパクッと。
すぐに、キュッと目を瞑った私をみて、農家さんが笑いながら「渋いけどね、少しずつでも食べてると、目の疲れ方が全然違うんですよ!」と教えてくれました。
熟しきる前の青リンゴのような味。確かに渋い…けれど不思議とくせになる味です。
 
 
参加された方に、実際に作業してみてどうですか?と尋ねると「夢中になりすぎて無口になっちゃいますね」と笑顔で答えてくださいました。
ベテランの方は「次の作業が楽になるように、収穫の時にある程度選別もしている」そうなのですが、
微妙な黒と赤のグラデーションを日光の下で見分けるのはなかなか初心者には骨の折れる作業。おしゃべりする余裕がなかなか生まれません(笑)
お昼までの約2時間でこの量の収穫は「なかなか立派!」と組合長のお墨付きをいただきました。お日様がジリジリと暑い中、がんばりました!
収穫したアロニアを作業場へ運びます。ずっしりと重たいコンテナ。午後はこれを選別する作業が待っています。
 
おつかれさまー!と声をかけあいながら冷たい井戸水で手をじゃぶじゃぶと洗います。
なんとも言えない気持ち良さ。そのあと農家さんのご自宅の一室をかりて、みんなでお昼ご飯をいただきました。
川のせせらぎをBGMにお昼ご飯を食べながら、みなさんに今回の体験に参加しようと思ったきっかけを伺ってみると、「アロニアの果実酒を作ったことがあって収穫体験に興味を持った」、という方や、「アロニアって初めて聞いたけれど、楽しそうだなと思って参加した」、という方までいろいろでした。きっかけは違えど、1日一緒に作業をするなかで交流も生まれ収穫体験以外の時間も楽しんでいる様子でした。

農家さんから、「飲んでみてね」と、アロニアのジュースをおすそ分けいただきました!この他にもゼリーやジャムなどの加工品があるそう。
りんごの甘さで飲みやすくなっていますが、後味にアロニアの程よい渋み。これはお酒にもあいそうです。
美味しいジュースでパワーを充電して、午後の作業へ向かいます!
午前中は体を動かしましたが、午後は目と頭を動かす選別作業。農家さんの自宅敷地内にある作業場で行います。
まずは、選別の流れや基準について教わりました。
こういう小枝がついているものが混ざっていたら枝部分をとる。
真ん中の粒のように傷がついてしまっているものや、収穫で混ざってしまった熟していない実は、加工するときに雑味に繋がるので取り除きます。
緑の箱に平たくならしたアロニアの実を、右に左に揺すりながら目を凝らします。農家の方も普段午前中は収穫作業、午後から日没まではこの選別作業をするのだそう。
午後の作業は日陰で、和気あいあいと。「アロニア、こんな風にして食べたら美味しいかもね」と、お話に花が咲きました。
川の渓流釣りや自然散策が好きな方にはメジャーな砂子沢。
わたしは今回、アロニアの収穫体験がきっかけで初めて訪れましたが、盛岡市中心部から約20分で来れる場所とは思えないほど「旅」をしたような気持ちを味わえました。
 
アロニアも少しずつコアなファンが増えてきているそうですが、りんごやみかんに比べたら、まだまだ知らない人も多いと思います。
今は「知る人ぞ知る」、な砂子沢地区とアロニア。今回初めて知った、場所としてのの心地よさや、癖になる美味しさがたくさんの人に知られるようになっていったら嬉しいですね。
 
 
 
《参加のみなさんより》
・盛岡の特産だけど普段食べる機会のない「アロニア」の企画はとても興味深かったです。
・収穫から袋詰めまで全工程体験させてもらいながら、農家さんも色々教えてくれて楽しく勉強ができました。友人に誘われて少し緊張していたのですが思っていたよりずっと楽しかったです。
・農家の方がとっても気さくで楽しくて、あっという間に終わりました…もう少し長く作業したかったです。
『畑のお手伝いプロジェクト~砂子沢アロニアコース~』
・イベント開催場所 砂子沢生活改善センター集合
・時間 9月8日(日) 10:00〜15:00
 
 
写真・文/菅原 茉莉

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